果たせなかった義父の『家に帰りたい』の夢②

番号 10

# 介護録

在宅介護を選べなかった理由

義父の家は私達家族の家から自転車で10分ほどの場所にある公営住宅でした。
エレベーターのない3階にあり、左足が少し不自由な義父にとってはかなりシンドイ環境でした。

ですが数十年住んできたこの公営住宅に愛着があり、入院中の帰るモチベーションを保ってもらいたいと家賃は払い続け、いつでも帰れる準備だけはしていました。

私も娘婿でありながら長らくの医療業界経験に加え、自分の両親の介護手配とさんざん悩まされた経験などを交え、決定権者である妻と妻のお兄さんをサポートしてきました。

老健に行きつく転院の度、『自宅に戻る案』が浮上しましたが誤嚥しない食事のコントロールと吸痰という特別な処置に加え、エレベーターの無い団地の3階までの昇り降りと、とても一人で暮らせるようなイメージは持てず、また近くに住んでいる私達家族も共働きで不在が多い中、十分なサポートができるか?自信もなく二の足を踏んでしまい、施設にてリハビリを続ける決断を行ってきました。

その度、義父は悲しそうな顔をして

「オレはもう大丈夫だ、
 どうして家に帰してくれないんだ⁈」

と、訴えていました。

➤次回『果たせなかった義父の『家に帰りたい』の夢③』:https://oyakaigo.jp/article/show/41

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