自宅に戻してあげられなかった家族の後悔
番号 20
バックヤードにおける介護家族の“あたふた”
以前ご紹介しましたが、要介護5の義父は肺炎で入院してから最後まで家に帰る事を望んでいました。
■果たせなかった義父の『家に帰りたい』の夢 ①
https://oyakaigo.jp/article/show/42
入院後、医師や看護師とのやり取りはもちろんながら、リハビリ病院に移ると理学療法士や事務の方、さらに自宅に戻るか介護施設に入るか決める時にはケアマネ、結果的に老健に入所した後もそれぞれの担当毎の介護士の方々などなど関係者との連絡は密に頻繁に行われました。
基本的には義兄夫婦が窓口になり、妹である妻と私にその都度、相談をもらいながら、家族として大小様々な決断を繰り返してきました。
2回の脳梗塞を経験する義父の転院はリハビリ病院も含めると8病院にのぼり、その都度、家族間だけでも何十回では収まらない程のメールや電話のやり取りを行いましたが、それだけやり取りしたにもかかわらず、義父の“家に帰りたいの夢”は叶えてあげられませんでした。
もちろんやり取りの数が多ければ良いというものではありませんが、義父のコンディション的に在宅介護も可能だったかもしれないにも関わらず、なぜしない方向で進めてしまったのか?当時の状況を振り返ってみるといくつかの後悔した点があります。
本人との“共有”と“同意”の欠如
リハビリも順調に進んでいたある日、あと2か月で退院と医師から説明されました。
次の行き先によっては、病院側も準備があるため、実質は1か月半で次の行き先を決めなければなりません。
選択肢としては、エレベーター無しの公営団地3階の自宅に帰るか、私達どちらの家族と同居するか、介護施設に入所するかの3択ですが、まずは義父の希望する『自宅に帰る案』を優先しつつ、『同居案』も同時並行で進めました。
各々の家族がそれぞれの案の関係者と個別にコンタクトを取り、それぞれで情報だけは過多に集まりましたが、全員フルタイムで仕事をしており、休みもバラバラで、さらに中高生の子供を2人ずつ抱える親でもある為、なかなかタイムリーに共有ができず、義父も含めて一同で話し合う時間が十分確保できないという事でした。
個別にメールをし合い、仕事の終わった夜遅くに都合のつく者同士でグループ通話をしたり、時間を合わせては義父のリハビリ病院に集合し、医師やスタッフも交え話し合ったりしましたが結局、義父を交えた家族間できちんと話し合えたのは1か月半のうち、わずか2回と少なく、さらにどの案も家族の誰かに何かの負担を強いなければならないといった、とてもその場で即決できるような内容ではありませんでした。
そうこうしていくうちに退院期限は迫り、病院サイドからも早く次の予定を決めて欲しいと催促が止まりません。
ギリギリまで何とか延長を申し出るも、次の入院患者を多数控えている病院サイドにとっては、そんなカラオケ感覚で申し出られても調整は厳しく、何とか数日は融通してもらえたものの、猶予となるほど期間は得ることはできませんでした。
家族間だけの都合でクローズ
介護施設への入所は義父の意向と年金から足が出てしまう費用負担の面で優先順位を一番低くさせていましたが、かかる費用以上の安心感が勝り結局、老健への入所となってしまいました。
老健への入所当日、介護タクシーから降り立った義父はリハビリ明けで、まだ歩くのも困難だったにも関わらず、歩行器にも車いすにも頼らず足を引きずりながらも毅然と玄関に入り、まるで「今すぐにも自宅へ帰れるぞ」と言わんばかりのアピールをし、入所説明の際も無言でずっと我々や職員の方を睨みつけている状況でした。
結論を出すまでに家族間で十分にかつスピーディに話し合えなかった事もそうですが、一番の問題は「何が障害になるか?」の情報ばかりを集め、ハードルの多さにフォローする家族全員がどんどん意気消沈していき、「やっぱり無理そうだ」と諦めていってしまったことだと思います。
専門家の方々や近隣の方も巻き込んで「どうしたらできるか?」や「いざという時どうカバーできるか?」というバックアップ体制をもっとイメージできていれば、私達家族も自信を持てたかもしれません。
関わってもらえる"ありがたみ"
平成30年版高齢社会白書(全体版)(内閣府)によると、
『自分の介護が必要になった場合にどこでどのような介護を受けたいか?』
の希望についてみると、
『自宅で介護を受けたい』
と回答した人の割合は全体で73.5%というデータがあります。
親が突然介護状態になった時、家族として事あるごとに判断を迫られる場面は多々あります。
遠く離れ、仕事や子育てなど自分の生活に追われる日々を過ごしていると、家族間であってもなかなか頻繁に打ち合わせをしたり、親の様子を見に行ったりすることも困難です。
そんな悩みを解消すべく、日頃から本人や家族間のみならず、介護に関わる関係者も一緒にコミュニケーションできる便利なサービス、それが介護大手のSOMPOケアが展開する『ケアエール』という見守りサービスです。
『ケアエール』では“ルーム”と呼ばれる介護される方と日頃からコミュニケーションが取れる場を作り、家族だけでなく、親戚や友人、さらには地域の民生委員やケアマネなど関わって欲しい全ての身近な人の登録ができ、日々の気持ちや出来事、体温や血圧などの体調に関わるヘルスレコードなどを共有し、離れていても日々の様子が確認し合える仕様となっています。
さらに、ルームの設定からメンバーのアクセス権限設定を「専門職」にすれば、トーク画面上のメンバー同士のやりとりは専門職の方からは見られず、体調と予定画面で閲覧と記入ができるようになります。
また、ある自治体ではルーム内で投稿やコメント、スタンプ等を本人へのエールとして貯めることができ、たまったエールは、その自治体が発行するポイントに変換し、地域通貨として使う事ができるという介護家族にも嬉しい取組みまでされている所もあります。
ケアマネや近隣の方までも巻き込み、本人・家族とコミュニケーションを気軽に取れる場をあの時に作れていたら、義父の望む環境作りをもっとスムーズにできたかもしれないと、こういったコミュニケーションツールの有用性を今では本当に深く感じます。
『ケアエールPRO』という介護事業者向けサービスもあり、利用者へきめ細かい“チームケア”を展開している介護施設も増えているという事なので、近隣の介護施設を一度、確認してみてはいかがでしょうか?
■大切な人の日常をかけがえのない日々に
ケアエール
https://careyell.com/
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