「まさかこれが前兆?」 “普通の変化”に隠れた認知症のサイン
番号 116
その違和感、「よくあること」で片付けていませんか
先日、「認知症の初期症状は“物忘れだけではない”」というニュースを見たのですが、実際には日常の中に紛れ込む“違和感”として現れるケースが多いと言われています。
これが非常に厄介で、本人も家族も「年齢のせい」「疲れているだけ」と見過ごしてしまうことが多いそうです。
厚生労働省の推計では、日本では高齢者の約5人に1人が認知症またはその予備群とされており、親介護を意識し始める世代にとっては、すでに身近な問題だと言われています。
しかし、実際に受診につながるきっかけは「はっきりした異常」ではなく、むしろ“なんとなくおかしい”という感覚であることが多いそうです。
ある医療機関の報告によると、初診時に家族が訴える内容の上位は「性格が変わった気がする」「会話が噛み合わない」「生活のちょっとした違和感」など、いわゆる“意外な変化”が中心だったと言われています。
つまり、教科書的な症状ではなく、日常の中の小さなズレこそが重要なサインになる可能性があるということです。
本コラムでは、実際に報告されている事例や研究結果をもとに、「えっ、それも?」と思われるような初期症状を3つの視点から掘り下げていきます。

【急にキャラが変わる】怒り・無関心…性格の変化というサイン
認知症の初期段階では、記憶よりも先に性格や感情のコントロールに変化が出ることがあると言われています。特に前頭葉という、感情や判断を司る部分の働きが弱くなることで、これまでとは違う反応が見られるようになるそうです。
実際にあった事例として、都内に住む60代男性は、もともと穏やかで几帳面な性格だったにもかかわらず、ある時期から急に怒りっぽくなり、電車内や店員への対応でトラブルが増えたそうです。家族は「ストレスが溜まっているのでは」と考えていたそうですが、会社の同僚からも同様の指摘があり、受診した結果、軽度認知障害と診断されたと言われています。
また別のケースでは、趣味に熱心だった女性が、急に何にも興味を示さなくなり、一日中ぼんやり過ごすようになったそうです。この「無関心」も初期症状の一つで、脳の意欲に関わる部分の働きが低下している可能性があると言われています。
国立長寿医療研究センターの研究では、初期認知症患者の約30〜40%に感情の変化が見られるというデータもあり、特に**「怒りっぽさ」「頑固さ」「無気力」**といった変化は、家族が最初に気づくポイントになりやすいそうです。
親介護の視点では、「最近ちょっと扱いづらい」と感じる変化があったとき、それを単なる性格の問題として片付けるのではなく、「以前とのギャップ」に注目することが重要だと言われています。変化の大きさこそが、サインになる可能性があるためです。
さらに重要なのは、本人には自覚がほとんどないケースが多いという点です。そのため、周囲の観察が非常に重要になると言われています。日々の様子をさりげなく記録しておくことが、後の診断にも役立つとされています。

【同じものを何度も買う】お金の使い方の“違和感”
認知症の初期では、記憶の問題だけでなく、判断力や計画性の低下が現れることがあると言われています。その結果として表れやすいのが、「お金の使い方の変化」だそうです。
実際の事例として、70代の女性が、同じ健康食品を短期間で何度も購入していたケースがあります。家族が不審に思い確認したところ、本人は「買った記憶がない」と話していたそうです。当初は単なる物忘れと考えられていましたが、受診の結果、初期のアルツハイマー型認知症と診断されたと言われています。
また別の例では、普段は節約志向だった男性が、突然高額な商品を衝動的に購入するようになったケースも報告されています。これは、リスク判断や優先順位をつける力の低下が影響していると考えられているそうです。
金融広報中央委員会の調査では、高齢者の金銭トラブルの約25%に認知機能の低下が関係している可能性があるとされており、特に初期段階では「ちょっとした違和感」として現れることが多いと言われています。
さらに注意が必要なのは、詐欺被害との関係です。警察庁のデータによると、特殊詐欺の被害者の多くが高齢者であり、その中には判断力の低下が影響しているケースもあると指摘されています。
親介護を考え始めた段階では、「お金の話に踏み込むのは難しい」と感じる方も多いですが、「いつもと違う使い方になっていないか」という視点で見守ることが、トラブルの予防につながると言われています。小さな違和感の積み重ねが、大きなサインになる可能性があるためです。

【話が微妙にズレる】“会話が成立しているようで成立していない
認知症の初期症状として、見逃されやすいのが**「会話のズレ」**だと言われています。これは「言葉が出てこない」といった分かりやすい変化ではなく、一見普通に会話しているようで、実はかみ合っていない状態として現れることが多いそうです。
実際にあった事例として、50代の娘が母親との日常会話に違和感を覚えたケースがあります。ある日、「今日は病院どうだった?」と聞いたところ、母親は「そういえば隣の人がね、犬を飼い始めたのよ」と答えたそうです。一見すると会話は続いているように見えますが、質問に対する答えにはなっていません。このような**“話題のすり替わり”**が頻繁に起きるようになったことで、家族が異変に気づいたと言われています。
また別の日には、「明日の予定覚えてる?」という問いに対して、「この前のテレビ面白かったね」と返答するなど、質問の意図を捉えられていない様子が見られたそうです。最初は「聞き間違いかな」と思っていたものの、同じようなズレが繰り返されることで受診につながり、軽度認知障害と診断されたと言われています。
研究でも、初期段階では**「単語は理解できるが、文脈理解が低下する」**ことがあるとされており、これが会話のズレとして現れると考えられています。つまり、言葉単体ではなく、会話全体の意味を組み立てる力が弱くなっているということです。
さらに特徴的なのは、本人は「普通に答えているつもり」であることが多い点です。そのため、周囲が違和感を覚えても、深刻に受け止めにくい傾向があると言われています。
親介護の場面では、このような変化に対して「ちゃんと聞いて」と強く指摘してしまうこともありますが、逆に混乱や不安を強めてしまう可能性があるそうです。そのため、**「短く区切って聞く」「はい・いいえで答えられる質問にする」**といった工夫が有効だと言われています。
そして何より大切なのは、**「会話がズレている頻度とパターンに気づくこと」**です。単発ではなく、繰り返し起きているかどうかが重要な判断ポイントになるとされています。
こうした“微妙なズレ”は見逃されやすいですが、初期の重要なサインである可能性があります。普段の会話の中にある違和感に少しだけ意識を向けてみてはいかがでしょうか?
