眠れない原因は夜じゃなかった ― ダブルケアラーの睡眠を壊していた「昼の食事」

番号 103

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睡眠は夜より、日中の食事で決まるそうです。

先日、「日本人の睡眠の質が年々低下している」というニュースを見ました。

厚生労働省の調査をもとにした報道で、特に印象に残ったのは、「睡眠時間は確保しているのに、疲れが取れない人が増えている」という点でした。
寝ているはずなのに朝からだるい、夜中に何度も目が覚める、眠った気がしないまま一日が始まる。
そうした声が、40代から50代を中心に増えているそうです。

専門家はその世代を「仕事と家庭の役割が重なりやすい時期」だと説明していました。
仕事では責任が増え、家庭では支える立場になる。育児に加えて、親介護が始まる人も少なくありません。
いわゆるダブルケアラーと呼ばれる人たちです。

このニュースの中で少し意外だったのが、「最近の睡眠トラブルは、夜の過ごし方だけでは説明できないケースが増えている」という専門家のコメントでした。

これまで睡眠対策といえば、寝る前にスマホを見ない、リラックスする、早く布団に入るといった「夜に何をするか」が中心でした。

ところが最近の研究では、眠りの質は、夜よりも前にほぼ決まっていると言われ始めているそうです。
しかも、その大きな要因が食事だというのです。

最新研究が覆した「眠れない=夜の問題」という常識

長い間、眠れない原因は「夜の過ごし方」にあると考えられてきました。寝る前にスマホを見ない、リラックスする、早く布団に入る。こうした工夫は今も大切だと言われていますが、最近の研究では、それだけでは説明できない不眠が増えているそうです。

ここ数年で注目されているのが、睡眠は夜に突然始まるものではないという考え方です。眠りを促すメラトニンは夜に分泌されますが、その準備は朝や昼の過ごし方ですでに始まっていると言われています。つまり、夜の状態は日中の積み重ねの結果だという見方です。

その準備に欠かせないのが、トリプトファンという栄養素です。これは体内で作れないため、食事から取る必要があるそうです。ところが最近の調査では、「忙しい人ほど、カロリーは足りているのに、睡眠に必要な材料が不足している」傾向があると報告されています。

朝食を抜く、昼をパンや麺だけで済ませる、夕方は間食で乗り切る。こうした食生活が続くと、眠るための準備が整わないまま夜を迎えることになるそうです。ダブルケアラーの生活では、こうした状況が起こりやすいと言われています。

さらに近年は、腸内環境と睡眠の関係も注目されています。食物繊維や発酵食品が不足すると、睡眠に関わる物質の働きが乱れやすくなる可能性があるそうです。

最近の研究が共通して伝えているのは、眠りは努力ではなく準備で決まるという視点です。夜に何かを足すよりも、日中に抜けているものを埋めるほうが、睡眠は整いやすいと考えられています。

「えっ?そんなんでいいの⁈」と言われている、睡眠と食の新常識

睡眠に良い食べ物と聞くと、特別な健康食品やサプリメントを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、最近の研究で注目されているのは、「そんなに普通でいいの?」と思うような身近な食物だそうです。

まず意外性が大きいのが、果物と睡眠の関係です。中でもキウイフルーツは、近年の研究で繰り返し取り上げられています。海外の比較的新しい研究では、就寝前にキウイを食べる習慣を数週間続けた人たちに、入眠までの時間が短くなり、夜中に目が覚める回数が減ったという結果が報告されています。

キウイは、眠くなる成分が直接入っているわけではありません。それでも効果が見られた理由として、脳を落ち着かせる物質の働きを助ける栄養が含まれているのではないかと言われています。特別な準備をしなくても、スーパーで買える果物が研究対象になっている点が、最近の睡眠研究の特徴だそうです。

次に分かりやすいポイントが、ミネラル不足と「考えすぎて眠れない状態」の関係です。中でもマグネシウムは、神経の興奮を抑える役割があると言われています。これが不足すると、体は疲れているのに、頭だけが冴え続ける状態になりやすいそうです。

「布団に入ると今日の出来事を思い出してしまう」「先の予定が気になって眠れない」という人は少なくありません。最近では、そうした状態の背景に、マグネシウム摂取量の少なさが関係している可能性が指摘されています。ナッツ類や海藻、豆類などは地味な存在ですが、睡眠研究の分野では重要な食材として扱われているそうです。

さらに近年注目されているのが、夕方以降の食事内容と血糖値の動きです。甘い物や精製された炭水化物を夕方に多く取ると、血糖値が急に上がり、その後急に下がると言われています。この変動が、夜中の覚醒や早朝覚醒につながることがあるそうです。

ダブルケアラーは特に、夕方に簡単な間食で空腹をしのぎ、きちんとした食事を取れないことが多いと言われています。その結果、夜になってから体が落ち着かず、「眠いのに眠れない」状態になってしまう可能性があるそうです。

一方で、長年「眠れる方法」として信じられてきた寝酒については、否定的な研究結果がさらに増えています。アルコールは一時的に眠気を感じさせますが、睡眠の後半を浅くすることが分かってきているそうです。「寝た気がするのに疲れが残る」という状態は、アルコールの影響かもしれないと言われています。

最近の睡眠研究全体に共通しているのは、
「特別なことを足すより、無意識に欠けているものを補う」
という視点です。難しい対策を増やすより、食事の中にある“抜け”を埋めるほうが、結果につながりやすいと考えられています。

ダブルケアラーに必要なのは「頑張らない回復」

ダブルケアラーは、日中ずっと誰かのために動いている状態になりやすい立場です。仕事、家庭、親介護。常に頭と体を使い続けています。そのため、「眠れないのは自分が弱いから」「もっと頑張らないと」と思ってしまう人も少なくないそうです。

しかし最新の研究が示しているのは、睡眠は努力ではなく、準備の問題だという考え方です。準備とは、特別なことをすることでも、生活を完璧に整えることでもありません。眠るための材料を、日中に抜かない。それだけでも体は変わると言われています。

毎日理想的な食事を用意する必要はありません。納豆を一品足す、ナッツを少しつまむ、夕方の甘い物を果物に変えてみる。その小さな選択が、夜の状態を左右すると考えられています。

自分の睡眠を守ることは、わがままではありません。むしろ、支える役割を続けるために必要な土台だと言われています。今日の食事を少しだけ見直して、眠りの準備になる食物を一つ加えてみてはいかがでしょうか?

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