定年後、親が選んだのはリゾートで働くという生き方でした ―その理由と現実

番号 101

# 便利グッズ

# 制度

# 介護の準備

定年後の働く先として応募が殺到している‟リゾートバイト”とは

先日、NHKのニュース番組で「定年退職後に観光地で働く高齢者が増えている」という特集を見ました。

温泉地の旅館でフロント業務を手伝う70代の男性や、リゾートホテルで清掃を担当する60代後半の女性が、落ち着いた表情で働く様子が紹介されていました。

その姿を見て、「元気そうだな」と感じる一方で、
「なぜ今になって働くことを選んだのだろう」
そう疑問に思った方もいるかもしれません。

高齢の親を持つ中高年世代にとって、親が定年後も働くという選択は、少なからず気になるテーマだと言われています。
「体力的に無理をしていないだろうか」
「家でゆっくり過ごした方が安心なのではないか」
そう感じるのは自然なことです。

一方、取材を受けていた親世代本人は、
「家にいるより、ここで働いている方が調子がいい」
「人と話す機会があるのがありがたい」
と語っていました。

総務省の労働力調査によると、65歳以上で就労している人の割合は年々増加傾向にあるとされています。
その中でも、期間を限定して働ける仕事や、生活環境を一時的に変えられる働き方を選ぶ人が目立っているそうです。

リゾートバイトは、まさにそうした流れの中で、高齢の親世代が選びやすい働き方の一つとして注目されているのです。

親が「もう一度働こう」と考えた背景にあるもの

定年退職後、しばらくは家でゆっくり過ごしていた親が、ある時から「何か始めたい」と言い出す。
その変化に戸惑いを覚えた子世代は少なくないと言われています。

高齢者の生活満足度に関する研究では、社会との接点が急に減ると、気力や意欲が低下しやすい傾向が示されています。
仕事という役割を失った後、生活のリズムや張り合いが薄れてしまうケースがあるそうです。

リゾートバイトを選んだ親世代からは、「毎日が単調になった」、「一日が長く感じるようになった」といった声が聞かれます。
期間限定であっても働くことで、生活に再び区切りとリズムが生まれる点が、大きな動機になっているようです。

仕事内容は、現役時代のような重い責任を伴うものではありません。
清掃や配膳補助、簡単な案内業務など、体力や経験に応じて選べる仕事が多いと言われています。
「できる範囲で役割を持てる」という点が、親世代にとって安心材料になっているようです。

リゾートで働く親に見られる『前向きな変化』

リゾートバイトを始めた親に対して、家族も「表情が明るくなった」、「話題が増えた」と感じるケースは少なくありません。
これは、人と関わる機会が増えたことが影響していると考えられています。

心理学の研究では、日常生活の中で目的意識を持って行動している高齢者ほど、精神的に安定しやすいと言われています。
リゾートバイトは、短期間であっても役割が明確で、「自分が必要とされている」という実感を得やすい環境だそうです。

また、自然に囲まれた環境で生活することが、気分転換につながるという研究結果もあります。
海や山の景色、季節の変化を身近に感じることで、心身のリフレッシュにつながるとされています。

体の面でも、家でじっとしているより、適度に体を動かす方が調子が良いと感じる親は多いそうです。
軽い身体活動を継続している高齢者は、体力低下が緩やかだという報告もあります。

メリットにもデメリットにもなる定年前の‟あれ”

リゾートバイトは、定年前に管理職や責任ある立場にあった親ほど、良い面と難しさの両方が表れやすい働き方だと言われています。

メリットとして挙げられるのは、管理職経験によって培われた視野の広さです。
現場の状況を俯瞰し、忙しい場所に自然と気づいて手を貸す姿勢は、若いスタッフから信頼されやすいと言われています。
接客の場面でも、落ち着いた対応が評価されるケースがあります。

一方で注意点もあります。
管理職経験が長い親ほど、無意識のうちに「指示する側」の感覚が残ってしまうことがあるそうです。
リゾートバイトの現場では、年齢や過去の職歴に関係なく、新人として決められた役割をこなす立場になります。

そのギャップが、人間関係のストレスや孤立感につながるケースもあります。
また、知らない土地で体調を崩した場合、医療機関の情報が分からない不安も見逃せません。
かかりつけ医がいない環境では、症状や持病を一から説明する負担が生じます。

観光地では、医療機関の数や診療時間が限られている場合もあり、仕事を休まなければ受診できないケースもあります。
さらに、子世代がすぐに駆けつけられない距離にいることは、大きな不安要素になります。

親がリゾートで働くという選択の背景には、「まだ社会と関わっていたい」、「自分の力で生活したい」という前向きな思いが本人のモチベーションや生きる糧として有効に作用されることは間違いありません。
良い面だけでなく、現実的な注意点も共有したうえで親の選択を尊重することが、子世代にできる関わり方の一つではないでしょうか。

不安を抱え込む前に、親の言葉や変化に耳を傾け、これからの距離感や関わり方を考えてみてはいかがでしょうか。

その他のコラム

もっと見る

TAGタグから探す

AI介護相談