親の介護、誰に聞けばいい? “とりあえず地域包括センター”で救われた人たちのリアル

番号 97

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「相談していい場所がある」ことを知らない怖さ

先日、「親の介護に悩み、誰にも相談できず仕事を辞めてしまった50代女性」というニュースを目にしました。

記事では、母親の物忘れが目立ち始めたものの、病院に連れて行くべきか、介護保険を使うべきか分からず、インターネット検索を繰り返すうちに時間だけが過ぎていった様子が紹介されていました。

最終的に女性は心身ともに疲弊し、仕事と介護の両立が難しくなってしまったそうです。

専門家のコメントとして印象的だったのは、「その状況であれば、最初に地域包括支援センターに相談していれば、選択肢は大きく変わっていた可能性が高い」という言葉でした。

実際、地域包括支援センターは高齢者本人だけでなく、親の介護に悩み始めた子世代からの相談が年々増えているとされています。

親の介護は、ある日突然始まります。
しかも多くの場合、準備期間はほとんどありません。「まだ大丈夫だと思っていた」「まさか自分が親介護をするとは思っていなかった」。

そう感じた瞬間から、情報不足と不安に押しつぶされそうになるのが現実です。

このニュースを読んで改めて感じたのは、介護の問題は“知っているかどうか”で結果が大きく変わるということです。

そして、その分かれ道に立ったとき、地域包括支援センターという存在を知っているかどうかは、決して小さな違いではありません。

「何から始めればいいのかわからない」という相談が最も多い理由

地域包括支援センターに寄せられる相談で、最も多いのが
「親の介護が必要かもしれないが、何から始めればいいかわからない」
というものです。

厚生労働省の調査によると、家族介護者の約7割が「介護開始時に強い不安や混乱を感じた」と回答しています。その理由の多くが、介護保険制度や支援サービスについて「ほとんど知識がなかった」という点でした。

ある50代男性の事例では、父親が転倒をきっかけに外出を控えるようになり、急激に筋力が落ちていきました。男性は「まだ介護というほどではない」と感じながらも不安を抱え、地域包括支援センターに電話相談をしました。そこで受けたのは、「今すぐ介護サービスを使う必要はないが、介護予防という選択肢がある」という説明でした。

結果として父親は要支援認定を受け、運動機能低下を防ぐプログラムに参加。男性は「介護が始まる前に支援が入ることで、精神的にも余裕が持てた」と振り返っています。

この事例が示すのは、地域包括支援センターは“介護が始まってから行く場所”ではないという点です。親介護の入口で迷ったときに相談することで、「最悪の事態を防ぐ」選択ができるのです。

地域包括センターに来る問合せトップ5 ―相談した人は、どう助かったのか?

① 介護保険制度の使い方がわからない

介護保険制度は、仕組みを理解しているかどうかで負担が大きく変わります。
実際、制度を知らずに家族だけで介護を抱え込み、心身の不調を訴えるケースは少なくありません。

ある40代女性は、母親の介護を始めて半年間、すべて自己負担でデイサービスを利用していました。地域包括支援センターに相談したことで、介護保険の適用が可能であることを知り、自己負担額は月に数万円減少しました。「もっと早く相談していれば」と語る彼女の言葉は、多くの親介護者に共通しています。


② 認知症かもしれないという不安

認知症に関する相談は、年々増加しています。研究では、認知症の初期段階で専門相談につながった家庭は、介護者の抑うつリスクが有意に低下することが示されています。

60代女性の事例では、母親の物忘れを「年のせい」と見過ごしていましたが、地域包括支援センターに相談したことで専門医受診につながりました。結果的に早期診断が行われ、適切な支援と家族への説明が行われたことで、「何が起きているのか分からない不安」から解放されたといいます。


③ 在宅サービス・デイサービスの選び方がわからない

親介護では、「どのサービスが合うのか」が最大の悩みの一つです。
地域包括支援センターでは、本人の性格や生活歴を踏まえた助言が行われます。

ある男性は、父親がデイサービスを嫌がり困っていました。センターで相談したところ、「集団活動が苦手な人向け」のサービスを紹介され、結果的に父親は外出機会を取り戻しました。「無理に通わせなくてよかった」と話しています。


④ 一人暮らしの親が心配

一人暮らし高齢者の増加に伴い、見守りや介護予防に関する相談も増えています。
調査では、定期的な地域支援につながった高齢者は、要介護状態への移行が遅れる傾向が確認されています。

息子世代が遠方に住んでいるケースでは、地域包括支援センターが地域資源と連携することで、孤立防止につながった事例も報告されています。


⑤ 金銭管理や詐欺被害への不安

親介護では、介護だけでなく「お金」の問題も避けて通れません。
地域包括支援センターに相談したことで、成年後見制度の情報を得て、親の財産を守る選択ができた家族もいます。

「親の判断力が落ちてきたことを、感情的に責めずに済んだ」と語る相談者の言葉は、制度が家族関係を守る役割も果たしていることを示しています。

親介護で後悔しないために知っておきたいこと―相談するだけで、こんなにも違う

研究や事例を通じて明らかなのは、早期相談は介護者の負担を確実に軽減するという事実です。
特に子世代は「自分が頑張れば何とかなる」と思いがちですが、それが限界を超えたとき、仕事や健康、家族関係に深刻な影響を及ぼします。

地域包括支援センターは、解決策を押し付ける場所ではありません。
「どうしたらいいかわからない」という状態そのものを受け止めてくれる場所です。

親の介護に悩み始めたとき、「まだ相談するほどではない」と感じる人ほど、後で大きな負担を抱える傾向があります。
地域包括支援センターに相談することは、親を手放すことでも、責任を放棄することでもありません。

むしろ、親と自分の人生を守るための賢い選択です。
不安を感じた今こそ、地域包括支援センターに一度相談してみてはいかがでしょうか?

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