もはや入所待ちは当たり前⁈ 応募激増中の『特別養護老人ホーム』
番号 39
特養入所の全国平均倍率は3~5倍
2週間前の3者面談以来、母の特別養護老人ホーム(特養)への帰宅日は依然、介護施設の“返答待ち”状態となっています。
認知症のトラブル行動が今回の入院のきっかけだっただけに、いかに病院から"小康状態"の判断が下されたとしても、再受入れを決断するには慎重にならざるを得ない施設側の気持ちも理解しつつも、家族としては費用が3倍もかかる環境から一刻も早く戻って欲しいと切に願うばかりです。
とはいえ、あまり施設を急かして、面倒くさがられないよう、さりげなく進捗確認を続けるも『検討中』との返答。
毎回煮え切らない返答に沸々しながらも、強気に出られないのが、いつも話の最後に職員が
「うちは狭いので、おうちでのんびり看られた方が幸せなのでは・・」
と、誰よりも狭い家々に住む我々に再三ほのめかしてくる事です。
以前からこの特養は数十人の“入所待ち”という人気ぶりで、何かあるとすぐに「おうちで・・」という、まるで通販の商品名のようなキラーワードを毎回投げつけてきます。
当然、我々家族には、ほぼ寝たきりで、ご飯や身の回りの世話など付きっきりで対応する余裕などあるワケもなく、毎回職員の顔色うかがいながらもチクチクと催促をしていくことしかできませんでした。
改善率“4%”の現実
介護施設の中でも特養は介護度が高い(基本的に要介護3以上)高齢者を対象とし、平均月額10万円前後と比較的リーズナブルで全国的に利用者も多く、人気の高い介護施設です。
「在宅介護を続けたがそろそろ限界・・」となったほとんどのご家庭は恐らく最初に検討する施設の一つと言えます。
そんな大人気の特養ですが、調べてみると案の定、全国の待機者数が2022年4月現在で27.5万人に達しているそうです。
また、老人ホーム別に見ても、令和3年現在の全国の老人ホーム数は1万3744施設のうち、最も多い特養が1万469施設で、前年度から133施設、定員としても1万1,476人増加していると言います。
超高齢化を背景に急速に施設数を増やしていながらも、全国で27.5万人の待機者に対して1.1万人しか増加していない状況を見ると、いかに需要に対する供給が追い付いていないのか、が見て取れます。
都市部に集中する“待機”
とはいえ、全国全ての特養が待機状態になっているワケではなく、特に都市部では待機者が多い傾向となっています。
東京都の2023年3月末時点で待機者数は36,362人の待機者がおり、平均待機期間は約10か月待ちとなり、待機者の中では在宅介護をしながら待っている人も多く、待機中に大病を発症したり、死亡してしまうようなケースも少なくありません。
また、このような状況の中、介護環境をより便利にしようと、首都圏に移動する高齢者が増えているというニュースも耳にしますが、在宅が立ち行かなくなり、いざ介護施設に入ろうとしても数十人待ち状態で結局在宅を継続するようなことになってしまうケースも見受けられ、便利な生活求めた結果、余計不便な結果になりかねない状態も引き起こされています。
親の介護が気になり始めた時点で、親の住まいの近隣の介護情報をいち早くチェックし、在宅から介護施設に移るタイミングが訪れた際に、いかにスムーズに移れるか?をリアルにシミュレーションできることが遠く離れていても家族ができる最大のことであると考えます。
頼るべきプロに確実なタイミングで頼れるよう、日頃からアンテナを高くしておくことが『頑張らない介護』のポイントではないでしょうか?