介護現場でもよく聞く“インクルーシブウェア”の魅力
番号 33
おしゃれは老化防止のバロメーター
先日、『“おしゃれ好き”で社交的だったお母さんの介護度が進むにつれ、どんどんおしゃれに興味が無くなり、人と会う事を避け、外出が減り、みすぼらしく衰えていく姿を見かねたご家族が、“インクルーシブウェア”なる洋服をプレゼントした所、周りからどこで売っているのか?聞かれたりするようになり、だんだんコミュ力が復活し始めた』というエピソードを聞きました。
先般の入院以来、あれだけ暴れまくっていた母親は一転して無表情・無反応・無気力状態となり、モーレツな勢いで認知症が進んでしまっているように感じます。
認知症になる前は、さほど社交的ではないものの、色々な洋服を買い漁い『一人おしゃれ』を存分に自慢していた母親の現在の状況を考えると、大いに気になるエピソードでした。
昨今話題になっているインクルーシブウェアとは、障がいの有無や体型の違い、性別などに関係なく、誰もが快適に着用できるよう設計されている衣服を指し、介護の現場で活用することで、利用者の自立支援や QOL の向上につながる期待をされているアイテムです。
おしゃれをすることで、自己肯定感や自信が高まり、ストレスが軽減され、これらの心理的要因が免疫力の向上につながる可能性があるという研究結果すら報告されています。
これほどまでに、介護領域で熱い注目を浴び続けるインクルーシブウェアに寄せられる大きな期待をチェックしてみました。

“多様性の受容”と“社会包摂”
あるインクルーシブウェアメーカーでは千数百通りの以上のパターンから身体や好みに合わせてサイズ・仕様・丈などをカスタマイズすることが可能で、例えば半身不随で腕や足の大きさや長さが違う方でも体形に合わせたパターンを選び、組み合わせることができます。
また、視覚障害のある人が認識しやすいボタンと生地のカラーリングや手や指先を動かすのが難しい人でもボタンがスムーズに止められる工夫や簡単にウエストのサイズ調整が簡単にできるなど、ハンデがある方でも脱ぎ着が容易なデザインにより、介助が必要な利用者の自立支援につながる上、介護スタッフの負担も軽減されるという"三方良し"の秀逸設計です。
こういった事から社会的に排除されがちな方々の多様性を受け入れ、人々が自分らしい服装を選べることで、利用者の自尊心や生活の質が向上するという、“社会的包摂”を促進することが期待されています。

“サステナビリティ“への貢献
様々なバリエーションのカスタマイズに対応できる為、既製品よりも自分にフィットした洋服を見つけやすい、いわば『オーダーメイド感覚』で最小限のアイテム数で選ぶことができます。
また、廃棄されるかもしれない在庫生地の中から着心地や肌なじみのいいものを選んで長期使用を前提とした無駄のない設計により、コスト面に還元させ、環境負荷の低減にも寄与しているそうです。
さらに服のサイズ調整や機能性の改善などの『お直しサービス』を提供する取り組みも進められ、お気に入りの洋服を体のコンディションの変化や状態に合わせて調整し、より長く使える環境も整ってきているようです。
交換頻度も多い介護の現場では、使い捨て的な扱いをされがちな洋服ですが、持続可能な製品の活用が重要になってきています。
いつもレンタルで、ファッションを楽しむ気にすらならない方は気分転換に"自慢したくなる勝負服"を是非、オーダーメイドしてみてはいかがでしょうか?
【参考】
■オール・インクルーシブ・ウェア 〈SOLIT!〉
https://solit-japan.com/
■キヤスク with ZOZO
https://zozo.jp/brand/kiyasukuwithzozo/

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