親の突然の入院で毎月の介護費用が一気に“3倍”⁈

番号 32

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あるタイミングから急に頻発する親の“もしも”

怒涛のお盆休みも後半にさしかかり、前回に引き続き母の入院先の病院から入院に際してのオリエンテーションがありました。

精神病院という性質上、一般の病棟とは違う特殊な対応や事態に対して、家族の同意もさることながら、今まで以上に母の自己管理を支援することが家族に求められました。
また、介護施設とは全く違う急な環境変化にパニックになり、帰ろうとしたり、暴れたりすることもあるそうで、最初は個室からのスタートとなりました。

そんなシビアな話を尻目に当の母親はというと、最初の面談の時は子供がいたずらして怒られているかのように、ずっと隅っこで小さくなって大人しくしていましたが、入院が決まるや否や
「自分は大丈夫なのに何でだ⁈」
と豹変し、声を荒げながら机を叩いたり、物を投げようとしたり、手が付けられないほど全身で拒否し始めました。

きっと母にとっては、自分で自分をコントロールできず“やきもき”していたら、家族と名乗るよく分からない人たちに無理やり檻の中に閉じ込められるような話を勝手に進められてしまうという、訳の分からない恐怖の事態に、ひたすら困惑している様子でした。

特養のリーズナブル価格から一転・・迫られるお金の工面

2時間近くにもおよぶ入院のレクチャーの最後にいよいよ費用の説明がありました。

衣類や食事、その他必要備品のレンタルなどは今までの介護施設とあまり変わりがないながらも医療費も含めた総額となると、月額で約30万円にものぼるとの説明がありました。

前もって一般的な入院費を確認していたので覚悟はしていたものの、今の特養の月額に比べると一気に3倍にも跳ね上がる毎月の費用に、とても月十数万円程度の年金では賄いきれません。

「あと何回認知症の母と話すことができるのだろう?・・」などとロマンチックな事を言っているヒマもなく現実に引き戻され、居合わせた姉兄と家族の頭によぎるのは当然「誰が負担する??」の文字です。

当然それぞれに家庭があり、余裕など微塵もない中で毎月20万円近い金額を捻出するため、全員躍起になって利用できそうな制度などあらゆるルートへ連絡してみましたが、お盆ということもありなかなか思うように連絡がつきません。

やきもきしながらもメールや代表電話にメッセージを入れていると、休みにも関わらず即レスしてくれ、さらに最も現実的で具体的な話をしてくれた”頼りになる先“は、母が加入している保険会社の営業マンでした。

“救世主”現る

かつて、

「オレにもしもの場合などない!!」

と言い張り、思いっきり脳梗塞になってしまった“保険嫌い”の父の介護で苦労した母は、介護費用を捻出することに奔走しまくった経験から、自分のもしもには絶対に家族に迷惑をかけないよう、最低限の準備を考えたいと、自分の物忘れが始まった十数年前にこの保険会社に相談していたようです。

保険を加入していた事自体は知っていたものの、『入院何日目からいくら出るのか?』など内容を全く理解しておらず、改めて営業マンから詳細を聞くと同時に、過去の苦労した日々を駆け抜けた若き日の母親のファインプレーで家族全員一気に前向きになれた感じがしました。

近年、民間の入院保険加入率は60代が75.9%と最も高く、子・孫世代にあたる20代が40.3%と最も低いというデータがあります。

お盆も後半にさしかかり、早い所では帰宅ラッシュも始まり、また日常の忙しい中でなかなか家族で親の“もしも”を考える時は少ないかもしれませんが、いざという時にどんな準備をしているのか?程度でも話しあっておくだけでお互い安心して日常を送れるのではないでしょうか?

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