シニア世代の“自炊率”
番号 25
変わる“食”に関する価値観
先日、ある雑誌で
『家族や友人など、誰かと一緒に食事を取る回数が多いシニアほど、自炊率が高い傾向にある』
という興味深い記事を目にしました。
子供が独立し、両親2人で住み始めてくると「わざわざ自分達の分だけ料理をするのは面倒だ」とか、「2人分ぐらい少量では高くつく」といった理由でスーパーで買ってきたものですませたり、レトルトや宅食など便利で簡単なもので済ませるイメージがあります。
確かに、最近ではスーパーのお弁当など300円台で買えるものなど驚くほど安価なものが売られ、シニアでなくとも少ない人数分をわざわざ手間暇とお金をかけ、自炊するのも少なくなってきたように思います。
親は自炊派?外食派?
シニアの『自炊率』を見てみると女性の90%、男性でも16.8%が毎日自炊をする自炊派との報告があり、全体的な自炊率は7割前後ですが、週2回程度は自炊していないことが分かります。
さらに、昼食の自炊率が3食の中で最も低く、アクティブシニアや非アクティブシニアでも同様の傾向がみられ、非アクティブシニア層の女性80-84歳では、4人に1人が1日3食未満の食事しかとっていないというデータがあります。
若い頃に比べ、食欲が減退し、そもそも食が細くなってきている中、食に対してこだわりが執着が少なくなってきていることが垣間見えます。
そんな背景を考えると、冒頭の『家族や友人など、誰かと一緒に食事を取る回数が多いシニアほど、自炊率が高い傾向にある』というのは、食にこだわりがない中でもコミュニケーションを取り、寂しい生活を防ぐための老化防止行動の一つであると言えます。
急増する“料理シニア男子”
そんな時代を反映してか、昨今ではシニア世代の料理への関心は高く、料理をする男性の約半数は"シニアの手習い"で料理を始めたそうです。
本格的な材料を使って自分のオリジナルレシピで味付けした「唯一無二」の料理を家族や友人に振る舞い、コミュニケーション頻度を上げていく、といった新しい交流形態が流行っているようで、うまい料理を作れる男子はやはりシニアなってもモテモテのようです。
また、料理は段取りや工程など手際において“仕事”にも通ずる要素が含まれており、認知症予防や精神疾患予防などにも効果があることが言われています。
遠く離れた親とたまの外食も楽しいですが、手料理を振舞ってもらい、自慢げに“料理武勇伝”を語る親に付き合ってあげるのはいかがでしょうか?