減少著しい“ケアマネージャー”という仕事

番号 19

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"超"難関資格 ケアマネージャー

先日、『ケアマネージャーのなり手がいなくなる日』という衝撃的な見出しの記事を目にする機会がありました。

ケアプランなど、介護が必要なご家庭には大変お世話になるケアマネさんですが、昨今、様々な要因から“なり手”が激減しているとの情報が書いてありました。

確認してみると、全国でケアマネの資格を有する方は約74万人で、実際に活動している方は約11万人だそうです。
厚生労働省によると、2021(令和3)年度の要介護認定者数は約500万人なので、稼働しているケアマネ1人に対して、45人を担当している計算になっています。

1日1人、休みなく担当しても一か月半埋まってしまうようなキャパオーバーの現状において、さらに増加が見込まれる今後の介護認定者数に対応できるのか?

激減の理由と敬遠される激務の事情を紹介します。

受けることすら難関⁈ 受検制度改正

以前はホームヘルパー2級として5年以上、もしくは無資格でも10年以上の介護経験があれば受験可能だったようですが、現在は特定の国家資格を取得している、もしくは受験資格に定められる相談援助業務いずれかで5年以上実務経験、従事した日数が900日以上を満たす必要があるそうです。

ここで言う国家資格とは、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士などがあり、いずれも専門性の高い資質が求められています。

2018年から制度改正され、要件のハードルが一気に上がったため、2017年に13万人いた受験者数も2018年には約5万人と6割以上激減しました。
2023年度(第26回)の受験者数も5万6,000人で合格者数は約1万2,000人(合格率21%)と依然、少ない水準で推移しているようです。

改正の詳しい背景などは介護家族が知りえない部分ではあるものの、現在の『45人待ち』状態を考えたら、とてもではありませんが自分の番が回ってくる気配すら怪しいですし、回ってきたとしても深く長く相談できるかどうか心配になる状況であります。

介護を始めようと相談しようと思った時に“ケアマネージャー待ち”のような現象が起きるかもしれません。

本来業務に加えての“シャドーワーク”

ケアマネ一人が平均的にどのぐらいの担当を持つかを調べてみると、以前までは35名程度で40人未満をキープしているようでしたが、2024年の報酬度改正によりさらに増えている現状があるようです。

そもそもケアマネの本来業務としては介護サービスが円滑に利用できるよう連絡調整を行うとされており、具体的には
・利用者の課題解決のための訪問・面接
・サービス担当者会議による専門的意見の聴取
・ケアプランの原案作りと利用者への説明・同意及び交付
・月一回の利用者宅でのモニタリングの多面の訪問・面接・記録
とあります。

これに加え、新型コロナのワクチン接種後の経過観察を頼まれたり、マイナンバーカードの代理受領、リコール製品の確認を頼まれたりと報酬につながらない、いわば“何でも屋”的な業務も当然のように課されるケースも多いと言います。

既に40人近い担当を抱え、月に1度訪問しただけでも1か月を有してしまう現状に加え、代理受領やリコール製品の確認など頼まれては、1日3件やっと回れるかどうかというギリギリの状況であるのが覗えます。

極端な話として2023年の合格者約1万2,000人のうち、現行の稼働割合14%とした場合、全国で年間1万5,000人ずつしか増えていかない状況となり今後、取り合いのような状況も考えられる為、いかに早くから相談し、ケアマネに極力依存しない自立した介護環境を構築できるか?が、やはりカギになりそうです。

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