介護のそばに、いつもの“マイカー”

番号 17

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# 介護の準備

免許を早々に返納した父が次にこだわった“車”

半身不随の父にとって車いすは当然ながら移動手段としてなくてはならないものでした。

元々リハビリ以外でも日中の8割近くは車いすに乗っていましたが、転倒事故以降、ますます依存するようになり、食事を取る時もほぼ100%車いすに乗っていました。

父の在宅介護に合わせて、実家のバリアフリー化を試みましたが、玄関の20㎝近くある段差はスロープの勾配が取れない程狭く、完全な段差解消ができない箇所が多々生じてしまい、車いすでの入外出にはかなりのテクが必要な造りになっていました。

若い頃に早く運転免許を取得し、20台近くの車を乗り継いだと豪語する父は自他ともに認める車好きで、代わった“足”として機能している車いすに、並々ならぬこだわりを見せていました。

それこそ、ある有名自動車メーカーの高級車と同じシートを搭載し、ボディも軽量でブレーキも複数個所に散りばめた“カスタム仕様”にし、移動の際には「マイカー横付けして」と恥ずかしげもなく呼びながら、ヘルパーさん達を苦笑いの渦に叩き落としていきました。

リハビリをさぼっている事を咎められることを嫌い、デイサービスにも後ろ向きになっていながらも、外に行きたい欲は増す一方で、天気が良い日は特に、手の空いている家族を見つけては3時間コースの”長旅散歩”をせがまれる為、陽気の良くなった昼下がりには、極力父に近づかなかった記憶があります。

乗り手の“快適”以上に押し手の“苦労”

病気で瘦せてしまったとはいえ、父はもともと100kg以上あった体格なので、車いすでの散歩も一苦労でした。

いつも散歩に誘われるのは決まって母でしたが、自分の倍近くある父親を、いくらカスタム仕様の車いすとはいえ、当初は何とか押して家を出たものの公園や神社の段差を乗り越えることができず、中に入ることを断念し、坂道を避け散々遠回りした挙句帰れなくなり結局、自宅のマイカーで父の自慢のマイカーごと回収に行くという顛末でした。

見かねた父が

「快適に乗れるように、ちゃんと鍛えて欲しい」

と、いつもの“わがままキラーワード”を母に言い放った瞬間、

「リハビリもやらない人に、鍛えてなんて言われたくない!!!!!」

と、ごもっともな返しと共に、車いすより滑らかなスピードで、ブチギレられていました。


そんな車いすエピソードを懐かしく思いながら、先日の介護機器展示会で最新の車いすを目にする機会がありました。

父がこだわっていた当時から軽量化やコンパクトさなど、車いす業界は遥か昔から激変を辿ってきた認識なので、正直、これ以上進化のしようもないのでは?と体感ブースを覗いてみましたが、そこには驚きの進化を目の当たりにしまた。

車いすにおける“お困りごと”を介護事業所が集約し、その解決モデルとして町工場の高い技術力と協働して開発された高機能仕様となっています。

前輪のキャスターが進行方向に固定されているので水勾配の傾斜のある道路でも少ない力でまっすぐ進み、さらに大きな車輪に重心があり、前輪が簡単に浮く仕様になっているため、ハンドルを下に軽く押しただけで、乗り手の体重を考えることなく段差を楽々超え、踏切や砂利道などの悪路でも楽々走破することができるという優れものです。

お住まいの地域によってレンタルやお試しのご案内が難しい場合があるようですが、こだわりの車いすをお探しの方は是非、一度相談してみてはいかがでしょうか?

■外出がラクになる介助型車いす
「COLORS®」
https://www.wheelchair.colors-g.co.jp/

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