重要なのは親の“異常”を通知された後⁈ 見守りに求めたいサービス

番号 14

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会議中に突然鳴り響く一人暮らしの親の“異常”を知らせるアラーム・・ど、どうする⁈

以前、母が300メートル先のスーパーから帰れなくなり、数キロ先の警察に保護されました。
かろうじて自分の名前だけしか言えない母に警官も困り果て、その派出所の半径数キロメートルにも及ぶ、役所も巻き込んだ“大捜索”の末、ようやく実家の近隣のほとんど面識の無い民生委員の方にまでたどり着き、その方から「迎えに行って欲しい」と連絡を受けました。

運悪くその日は立て続けに会議が入っていた為、慌てて代わりの迎えを探しましたが全員都合がつかず、ご迷惑を承知で連絡を頂いた、その面識の無い民生委員の方に頼み込んで無事家に送り届けて頂いた気まずい過去があります。

高齢者の一人暮らしは女性が男性の2倍

内閣府の調査によると、65歳以上の一人暮らしの増加は男女ともに顕著であり、昭和55(1980)年から平成27年(2015年)の35年間で88万人から約600万人と7倍近くまで増加し、女性の一人暮らしの割合が男性の約2倍となっています。(図1)

さらに、内閣府が高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査として「ふだん、近所の人とどの程度の付き合いをしているか?」について尋ねたところ、60%以上が『立ち話や挨拶をする程度』または『付き合いはほとんどない』といった、いざという時に家にまで見に行ってもらうのをお願いするには、なかなか頼みづらい関係性であったことが報告されています。

アラームが鳴って異常を知らせてくれるのはありがたいですが、状況を把握しないことにはやみくもに見に行ってもらう手配もできません。
『見守りサービス』に求めたい事は、ただ通知をもらうだけではなく、通知をもらった家族が迅速にその異常さの程度を把握でき、然るべき対応を確実に行える事までが重要だと考えます。

図1.65歳以上の一人暮らしの者の動向

※資料:令和2年までは総務省「国政調査」による人数、令和7年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(2018(平成30)年推計)による世帯数より筆者作成

絵にかいたような“負のループ”

認知症の初期の頃、パンやアイスなど頻繁に消費するものを何度も新品を買い足しては冷蔵庫に詰め込んでいく不思議行動が出始めました。

この警察保護をきっかけに買い物頻度を減らそうと、お金を置かないようにしましたが、今度は
「お金が盗まれた!!!」
と大騒ぎして、またまた警察沙汰になり連絡が来るといった“負のループ”に陥りました。

それからもあらゆる対策を施してみるものの、こちらをたたけばあちらが出てくる、『モグラたたき状態』にほとほと疲れ、しかもトラブルが起きて電話をもらう時は決まって主張中や会議中という嫌がらせのようなタイミングの為、着信に出ないと連絡先からさらにクレームになっていく・・という手のつけられない状態へと発展してしまいました。

活路を見出したきっかけは母の主治医の一言

明らかに母親と家族の歯車が狂い始めているのを見るに見かねて、認知症の定期健診へ母を連れて行ったある日、主治医が忙しい時間を削ってカウンセリングをして下さいました。

そのアドバイスというのは

『徘徊や虚言などが始まると大抵の家族は行動を規制して抑え込みがちだが、認知症患者は自分の不安行動を抑え込まれる事自体に強い“異常”を感じ、それを上回る行動をしようとしてしまう。
むしろ自由に生活を送ってもらい、その生活リズムを把握することで安全に暮らせるよう整備してあげることが重要』

というものでした。

連絡をして下さる方への迷惑を恐れ、何とか静かにじっと引きこもってもらいたいと願っていましたがそれがかえって逆効果だったことに大きなショックを受けたと同時に止まらない負のループに納得がいった瞬間でした。

それからはいつも出掛けるスーパーや曜日、時間なども把握し、実家に帰った時はまず冷蔵庫をチェックするなど、『出かける・詰め込む』前提でのコミュニケーションを取り、徐々に“円滑ループ”に変貌していきました。

近年は様々な見守りサービスが登場し、リモートでも行き届いた見守りができる環境が整ってきています。
冷蔵庫や玄関など生活動線の重要なポイントにセンサーを配置し、生活リズムを把握できたり、転倒や事故などもしもの時にも人感センサーがピンポイントで録画したものを再生することができたり、やみくもに駆けつける前に状況を判断できる『かゆい所に手が届く』機能が充実したサービスも登場しました。

仕事も子育てなど自分の生活でいっぱいいっぱいな上、遠く離れた親の元へもすぐに駆け付けるのは、もはや無理の域です。
そんな時こそ、リモートでお互い“安心”できる日常を整備してみてはいかがでしょうか?

・親の事が気になりだしたら
ソニーのスマートホームサービス MANOMA
https://manoma.jp/lp/parent_care/

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