介護を始める時に確認すべきポイント
番号 8
介護を始める時に確認すべきポイント
一緒に住む“在宅介護”でも離れて暮らす“遠距離介護”でも始める前に準備すべきポイントを挙げます。
●お金
◆介護費用がいくらかかるのか?
介護保険サービスを利用しなければ、費用を全額負担することになりますので要介護者が介護認定を受け、介護保険サービスを利用して自己負担を減らすのが原則です。
ホーム画面にある『介護シミュレーション』でおよその金額を把握し、詳細については介護保険サービスを利用する時にケアマネジャーに相談し、利用可能なサービスを検討してもらいましょう。
状況に合わせて、食事の配達サービスや福祉用具のレンタルなども検討するのも良いでしょう。
◆介護費用をどこでまかなうのか?
内閣府の調査で55歳以上の人に必要になった場合の介護費用について尋ねたところ、以下のような結果となりました。
・「年金等の収入でまかなう」 63.7%、
・「貯蓄でまかなう」 20.5%、
・「収入や貯蓄ではまかなえないが、資産を売却するなどして自分でまかなう」 4.0%、
・「子などの家族・親戚からの経済的な援助を受けることになると思う」 3.2%、
・「特に考えていない」 8.1%
*内閣府 『高齢者の健康に関する調査』(平成29年)より
介護施設の費用が親の年金などの収入を上回ってしまった場合、子世代への負担が生じる可能性もありますので預貯金や生命保険類なども含め、経済状況を確認した上で、介護の方向性を決める必要があります。
また高齢者世帯を狙った悪徳商法などにもケアが必要なため、通帳や印鑑、権利証など貴重品類の管理を確認しておくことも重要です。
さらに認知症が進んだ場合、親の資産を利用できなくなる可能性もあり、子世代が負担するような事態にもなりかねないので、資産についてはしっかり確認しておきましょう。
●住まい
◆介護可能な環境かどうか
バリアフリーや手すりなど動線に関する対応や遠距離介護の場合は見守りや介護者の出入りなど介護が十分に受けられる住環境かどうか、を早めにチェックしましょう。
要介護認定を受けている場合、高齢者一人あたり20万円までの助成金が支給されますが、必ずしも大がかりな工事をしなくても簡易的な手すりを設置できたりもしますので被介護者の状況と予算に合わせて検討を進めましょう。
◆医療・介護に関する相談相手
内科的な診断と認知症の診断ではかかる医師も変わるため、かかりつけ医の専門外の疾患においては別の医師へ渡される場合もあります。
異変にもすぐに対処できる近所の『かかりつけ医』を早めに把握し、緊急時にすぐに相談できるホットラインを早めに構築しましょう。
◆近隣の介護施設
認知症や身体的な障害が進み要支援から要介護状態になった場合、単身での生活は厳しく「遠距離介護」から介護施設の利用を検討するかもしれません。
例えば特別養護老人ホーム(特養)では要介護3以上から入所可能など条件があるため、被介護者にどのような疾患があり、利用可能な施設にはどんな種類があるのか、具体的に把握しておく必要があります。
また、満床で待機する場面もありますので早めにご実家近くの介護施設を早めにチェックしておくのがお勧めです。
◆親の日常生活や交友関係
親の日常生活に関する情報を把握していれば、「どの時間帯に連絡をとればよいのか」だけでなく、「何を不自由に感じているのか」などを確認しやすくなります。
また、交友関係を把握して、親の友人と信頼関係を築いた上で、何かあったときに対応してくれるよう頼んでおくことも大切です。
加えて地域の民生委員とも繋がっておくのは有効です。民生委員は住民の生活支援など幅広く相談に乗ってくれる活動しています。
●仕事
◆自身の仕事への影響度
介護が始まると例え遠距離に暮らしていようとも仕事中に何らかの対応をしなければならない事も発生します。
介護に対して寛容な会社であればあまり問題にならないのかもしれませんが、ご自身の業務に支障が出ないよう予めシミュレーションしておき、場合によっては職場にも理解を得ておくことが好ましいです。
◆勤め先の介護休暇制度
厚生労働省 『改正育児・介護休業法参考資料集』によると、介護をしている雇用者(39万9千人)について、介護休業等制度利用の有無、制度の種類別にみると、「介護休業等制度の利用あり」の者は15.7%で、このうち「介護休業」の利用者は3.2%(7万6千人)、「短時間勤務」は2.3%(5万6千人)、「介護休暇」は2.3%などとなっています。
育児休暇などに比べ、介護休暇は制度があっても取得しづらい状況にあり、例え取得したにせよ長期の戦線離脱から復帰にも大きなハードルが伴うことから離職を選択することも少なくありません。
制度自体を確認することもさることながら、スムーズに取得するにはどうするべきか?をこちらも予めシミュレーションしておくのが良いでしょう。